第55期開始に当たって

ツクツクボーシの鳴き声と共に、あぜ道を彩る彼岸花が咲き始め、永かった今

年の夏が終わりを告げようとしています。

細っていた食欲が戻り、旅行や爆買いにしか頭が回らなかった日常から美術鑑

賞や読書でもと言う気が少しずつ起こり始めました。

想い起こせば大阪万博が開催された1970年の3月25日、浅学菲才の身をも

顧みず若干28歳で当社を創業以来お陰様で55期を迎える事が出来ました。

無事これ名馬と言う諺もありますが、地獄のような日々も経験してまいり

ました。

無事今日まで辿り着けましたのも、私の周囲の多くの皆様のご指導ご尽力

の賜物と改めて嚙みしめる今日この頃でございます。

2019年3月当社第50期で甥に社長職を譲って以来はや5年が経過しました。

その直後から始まった隣国由来の新型コロナウイルスによるパンデミックが世

の中を大きく変えたのは皆様ご承知の通りであります。

翻って我が社の動きを顧みれば、コロナ禍のお陰で働き方改革がスムーズに移

行できました。これは正に怪我の功名と言うべきでしょう。

又、わが社も多いに恩恵を受けた政府の補助金制度は時宜を得た政策でありま

したが、これは両刃の刃の一面を持つ危険と隣り合わせである事を忘れてはな

りません。

持続性を全く期待できない補助金に頼りすぎ、自助努力を忘れては危険です。

更に超円安と言う厳しい現状を考える時、永年に亘り育ててきた高収益商品の

お陰で当面はこの危機を乗り越えられるかも知れませんが、そんなに簡単なこ

とではありません。

これらを克服する為には、全社員が世界に通じる英語力を高め総力を結集して

既存商品の改良改善を行い、無駄な費用の出費を抑えると共に全く違う発想を

する有能な人材の発掘と、業種に捉われず、他人をまねる事なく世界に通じる独

創的な新商品開発に人材と資金を投じる必要があります。

当社は今こそ大きく変われるチャンスです。ダーウインを持ち出すまでもなく

人類も企業も変わらなければサバイバル競争に置いて行かれます。

最後に管見のそしりを覚悟の上で申し上げます。

ロシアによるウクライナ侵略と中国や北朝鮮による周辺国への威嚇は国連の無

力をさらけ出しました。

常任理事国への立候補などナンセンスで、拒否権を持つ常任理事国の制度があ

る以上現在の国連改革は不可能です。

未来世界の計画を持つ日本の政治家に、現在の国連を無視して民主主義の本旨

である多数決で物事を決める新しい国際会議を日本等が先導して作るのが早道

ではないでしょうか。

日本がこんな体たらくの国連にアメリカ、中国に次ぐ3番目に多い拠出金を

出しているのは誠にばかげた話であります。 合掌

初秋の滋賀県日野町より

名誉会長 佐野泰治 文責


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